数日前、
サイレントヒル最新情報出るが…という話をしたが、10月20日予定通りにさっそく出た。すなわちシリーズ再始動である。
最新情報として発表された内容は、
1.リメイク
2.新作( ✕2)
4.映画
5.ユーザー参加型のライブイベント(インタラクティブライブイベントとか言うやつ)
と、まさかの5本立てで、これは本気で(儲けに)イく気やなKONAMI…と思った次第。
ちなみに一番気になったのはオリジナルからのファンである身として、やはりリメイク。
こちらはサイレントヒルシリーズで最も評価が高い作品、SILENT HILL 2のSteam(PC)版とPS5版についてであった。
トレーラーも同時に公開されており、個人的には「おお!」という気持ち。この情報を見ているとき、寝起き出勤前だったが、時間も気にせずすぐにトレーラームービーを見てみた。
海外チーム制作とかはさておき(予想通りなので)、トレーラーに対する感想としては、
うーん…ゴキブリがちょっとリアルじゃないな。
ではなく(一応これも思ったが)、
おいジェイムス、お前そんな顔だっけ?
念の為に本物のジェイムスをお見せしよう↓
これを明るくすると…
こう。
いややっぱあのトレーラーの男はジェイムスじゃないだろ。
あれじゃジェイムスのコスプレしたおっさんだ*1。
そもそもだ。ジェイムスもっと若いと思ってたんだが?せいぜい30代半ばまででは?
と思い公式の年齢を確認。
29歳。
わっか!
ちょっとそこまでとは思ってなかったので驚いたが、これはなおさらリメイク版のおっさんとは違う。このおっさん、確実に40代半ばは超えている。
29でいかに精神が病的に疲弊して、老けたとしても、これは老け過ぎだ。我輩が、30半ばと見えてたあれくらいが絶対ちょうどいい。
というか年齢だけでなく。
なんか顔があまりにも違う。
どうしたらこんなまんまるお目々のおっさんに造形されることになるんだ?
もしやリメイク用に起用した俳優の顔でモデリングしたとかか?ちょっと待て、オリジナルのキャラがすでに存在する作品である。せめて先に3Dキャラをオリジナルに合わせてモデリングし、その上でモーションキャプを当てるべきだ。
さすがにリメイク俳優の顔をモデリングした説は無いだろうと信じたいが、これが、ちゃんとオリジナルのデザインから最新技術を駆使してモデリングした結果がこれです、と言ったとしても、あまりに別人過ぎるのでそれはそれで問題である。
Artstasionで2019年にアップされてる個人制作のジェイムスのほうがまだ断然似てるので、これはジェイムス・サンダーランドじゃないと言わせてもらおう。
つか…
こんな前髪重くなかったやろ!なんでレオンかぶれみたいな髪型になってんだ!
この髪型の違いは結構でかい。これが与える印象は大事だ。せめて髪型だけでも一致させてほしかった。
ちなみに個人的なジェイムスの印象は、精神蝕まれた(言ってしまえば気の狂った)表情の乏しい男*2、だ。あるのは揺らがぬ悲壮、翳りのみ。
罪を背負い正常とは言い難い精神状態にサイレントヒルという町の力が融合した結果の狂った世界を、それでも亡き妻(時々マリア)の影を追って、ひたすら彷徨い歩く姿は、どう足掻いても常人とは言えない。
普通なら一旦は悩むはずのきったないトイレに全く躊躇いなく手を突っ込むのも、底の見えない穴にも動じず自ら落ちるのも、嘔吐しまくってる人間に容赦なく話しかけるのも、普通じゃありえないのだ。それをいとも容易くやってのけてしまう。それがジェイムスである。
これらは、彼がほとんど常に悪夢を見ているのに近い状態であることも意味していると我輩は思っている。
我々は夢を見るとき、現実ではしないはずの判断をすることがある。
例えば我輩はたまに夢の中、汚物の溢れかえるトイレで用を足そうと奮闘していることがある。普通は汚くて他に行く。それをなぜだか夢の中では、もうしゃあないか…みたいな気持ちとなり、状況をただそのまま受け入れ、試みようとする。
夢の世界とはそういう曖昧で鈍い精神状態を生み出すのだ。
ジェイムスの判断もそれに近い。
それは彼の精神状態が、現実=生からやや離れたように、異常さを抱えているということをはっきりと示している(意識がサイレントヒルの影響とシンクロするのもそれ故)。
だからこそ、表情も乏しくなるってもんだ。喜怒哀楽の感情、恐怖や嫌悪の反応が普通よりも鈍感になっているのである。
先に挙げた事(トイレ、穴etc)からもお分かり頂けるだろうが、鈍感であるがために、ときたまハッと驚くことはあるにしても、基本的には滅多なことでは動揺せず、一見、冷静であるようにすら見える。
だが正常な人間は異常な中で冷静ではいられない。冷静さを保つには、受け入れ順応せねばならないからだ。受容とはひとつの愛の形だ。異常さを愛で受け入れる。求める人がそこにいるのなら。だが異常さに順応するとは、それこそ異常な証拠である。つまりジェイムスは確かにおかしい。
だがリメイク版ジェイムス(のふりしたおっさん)はどうだろう。
動画の入りからなんか既にちょっと荒々しく扉を開けてくるではないか。心乱れまくりである。
まんまるお目々で見てきたのは、しっかりとした現実だ。地に足付いているし、疲弊してはいるが正常である。ただの疲れたおっさん、疲れた会社員だ。多分今日めっちゃ残業したな。
表情豊かに驚いたりして、懸命に顔を顰めたり、もうなんか…躍動感あるんだよな。もはやイキイキしている。惰性で過ごす日常と仕事という現実から逃れて、イキイキしちゃっている。きっと彼は今こそ生きていると実感できているだろう。
そして、我輩が最も憤慨したのはトレーラーのこのシーン。
暗くて見にくいので明るくするが、
これだ。
このシーン恐らく、
オリジナルでのこのシーンだと思われるのだが(じゃなかったらマジで何のシーンか分からん)、本来は力なく項垂れるべきシーンなのである。あんな感情任せに力強く床ドンなんかせずに。
そして、
I was weak.
(私は弱かった。)
そう、この物語は恐怖に怯え逃げ惑い、怒り悲しみをぶつける、なんて、そんなものではない。
ゆっくりと己の過去、罪、そして真実に向き合っていく物語なのである。
…とまあこのように、拭えない違和感に言いたいことはたくさんある。
最終的に、これはジェイムスとは全く別人のおっさんとしか感じられなくなった我輩は、こんなリメイク望んでいない、と、トレーラーを見れば見るほどに思った。
あと、最後に。
単純に疑問なんだが、トレーラー最初らへんで既存ファンを沸かせるためにかわざとらしく持ってきてあった、キャラデザ:伊藤暢達と、音楽:山岡晃の両名の件。
そりゃオリジナルあってのリメイクなんだから、元の作品で起用されてた彼らのキャラクター、音楽を使用するのは当然なわけでそういう両者から使用許可頂きましたといった意味での著作権的掲載なのか、それともリメイク版でオリジナルとは違った要素、またはアレンジされたクリーチャーや音楽を期待していいということなのか。
前者だとほぼほぼ詐欺だが、なんかこの辺がはっきりしないとなんとも言えず、モヤモヤしてそれすらも素直に喜べん。
それに、音楽はアレンジ性も効くだろうが、キャラデザなんかはなかなか無理だろう。キャラデザのアレンジなんてほぼデザイン変更と同義だ。
特に、作品のストーリーからクリーチャーを拘ってデザインしてそうな伊藤氏が、リメイクだからといって易易とデザインを変更するようには思えんしな。新クリーチャーか、デザイン使用許可のどっちかしかなさそうに感じる。
※伊藤氏3Dモデリングもするらしいが、キャラクターデザイン部分にクレジット表記があるため、モデリング面での参加ではないはず(だし、キャラデザ担当がモデリング兼任は、人も金も少ないインディー〜小企業まででしかありえんやろ)。
ここらでリメイクについての話は終えるとしよう。散々長々語ったが、まあ文句と気になった点はこんなもんである。
その他、リメイク以外の件にも軽く触れておく。
新作2点のうち1点は、SILENT HILL:fで、まさかの和ホラー。せめて舞台静岡にせなアカンやろ、と思ったが実際のところは不明。そして雰囲気はもはや零の新作。音楽担当は不明で、シナリオはひぐらしのなく頃にの人らしく、キャラデザは美麗イラストを描く感じの人で、美しいに全振りしそうである(そういった意味でも零感だ)。
もう一作はいまいちよくわからんが、SILENT HILL:TownFallとのこと。プラットフォームも、ゲームシステムも不明。
あと映画は、Return to SILENT HILL。これも詳細不明。サイレントヒル2ベースとのこと。もしやあのおっさんのようなキャストになるのか…?
原作リスペクトとか言ってるが、鑑賞型アトラクションとしてのみ楽しみにしておこう。
最後に、SILENT HILL:Ascension。インタラクティブライブとか言うのはマジで興味がない。サイレントヒルはそんなワーキャーするもんではない。とりあえずこれも別物、アトラクションとして考えておこう。
以上。これらが、SILENT HILL Transmission(発表時のYouTube番組名)で発表されたもんである。
にしてもやはり別物が生まれるというのは避けられないのだなと改めて思った。
サイレントヒルは絶対に金になる。もはやブランドだ。それを使わない手はないだろう。
まず、現KONAMIプロデューサー(岡本基)が、そもそもTeamSilent(サイレントヒル制作陣)とは無関係だしな。つか誰一人残っていないような。名前ばかりになるのも当然、ブランド名で売りさばくのも現実。
これはPSYCHO-PASSの二期が制作決定したときも同じ感情を抱いたが、我輩の性質によるものだろう。終わったものをこね繰り回すのはナンセンスだ。しかもメンバーを変えてまで。
だから我輩はQuanticDreamの創設者、デヴィッド・ケイジの理論が好きである。
続編は創造性と革新性を殺す。
この理論で行くと4までなんて到底作られなかっただろ(1と繋がってる3なんかは特に)、ということに関しては無視し、
我輩にとって、サイレントヒルの創造性も革新性も4までで死んだとして*3、
思い出の中に埋葬するとしよう。
(つってもHome Comingだけはプレイしてみたいけどな。作品として普通に面白そう。あとやっぱ楽曲に山岡晃氏起用してるのは好印象である)
※おまけ:同時公開されたサイレントヒル2のオリジナルのデザインそのまんまの正確なレッドピラミッドシングのフィギュアだけは良かった。ちゃんとエプロン(みたいなやつ)を着ており、これだよ!これぞ三角頭だ!と感じた。
2022/12追記
色々言いはしたが、結局のところ、我輩にとってチームサイレントによるSilentHillシリーズは、もはや神格化した作品なのだと思う。神に変化は望まないし、そのままでいてほしいのだ。だからこそ新たに出現する作品や異なる制作陣に対し、こんなにも否定的なのである。この感情というのは、新しい歌手を否定するジジババに似ているのではなかろうか。時代や時の流れすらもときには拒む。恐らくは彼らも、思い出の中、過去に生きる神を抱き崇め続けているのだ。誰しもが自身だけの神を持つのだろう。
*1:もっと言うとメアリーもちょっと違うが、トレーラー上登場シーン無さ過ぎて分かりにくいので下手には言えない。これがマリアになるとして、あの奔放感出せるのかは疑問だ(リメイク版は優等生顔過ぎる)。あとはローラをちゃんと、そんな可愛くはないが勝ち気で活発なイギリス少女の顔立ちにしなかったらマジで許せん。
*2:まあサイレントヒルの男主人公は全体的に表情乏しそうではあるが(全員影があるんで)、とくにジェイムスは人を手にかけている以上、最も暗い。最暗。あんなまんまるお目々ではない。
*3:日常の侵食、そして境界の見えない正常と異常のホラー演出こそがサイレントヒルで、まさにその手法のパイオニアだと我輩は思っておりそれらがめちゃくちゃ好きなのだが、4まではその奇妙で気持ち悪い異様さを見事に表現している。あとストーリーも好きだ。が、いや2までだ、という人もいるし4はゲーム性の変わりようからあまり評判が良くなかったのも知っている。なので、4までと言っているのはあくまで個人の嗜好によるものだ。