「K所長宛 E社Mさん領収書不備がありました。」
という件名のメールが本日受信ボックスにあった。差出人は事務社員T氏、件名上の宛先は所長だが、メールは正社員全員に送信している模様。
ちなみに、E社とはうちと契約している協力会社である。
なんとなく中身を見てみた。
件名:K所長宛 E社Mさん領収書不備がありました。
本文:おはようございます。
11月3日私が休みのためメールにて報告です。
11月1日領収書棚卸し時に発見しました。
E社Mさん。
手書き領収書の「¥」マークを「羊」で記入していました。作業伝票も確認したところ、やはり「羊」で記入していました。
遡って2021年4月まで確認しています。
Mさんは2018年1月入社。いつから領収書の不備が出ているか、E社Oさんにて確認中です。
確認後、ご報告が入ると思われます。
事務側でもチェックが甘く、見抜けていませんでした。申し訳ございません。
また11月4日出勤時に、改めて報告いたします。
事務社員T
我輩の脳内を羊が駆け回る。
メェメェメェ、と…。
読みながら、一人でヌフッ…ヌフフ…ッ…と堪えきれずに笑った。
やはり羊だったとか羊過ぎて笑わん方が無理である。
まあ人は誰しも間違える、そんな生き物だ。
だが、これはそうではない。
どこを見ても羊なのだ。
むしろ羊しかいない。
見渡す限りの大草原、遊牧、羊。
一匹紛れた迷子の羊ではなく、堂々胸を張り登場羊なのである。
つーかなんかおかしいと気づかなかったんだろうかなぁ。いやこれ羊だよな、ってなるやろこんだけ書いてたらさすがに。
まあ約半年以上遡って羊だったというのなら、それ以上遡ったとて、もうそこにあるのは羊以外の何者でも無いだろう。
こんなに可愛くてクソ迷惑な間違い、かつて見たことが無い。おバカというか、面白すぎる。
ちなみにこのメールは気に入ったので保護した。疲れたときにまた読み返そうと思う。
そんな感じで楽しくなっている我輩の後ろで、
どうしましょうかね…全部差し替えまで必要なのか、発行した方全員に連絡はしないと…
みたいなことを、誰かと話して合っていた所長。
放たれた羊を回収するのは大変だろうな、と、まるで他人事に思った(まあ実際他人事なんだが。だから笑える)。