我輩はパソコンの横に、届いた封書類を重ねていく癖があるのだが、重ねるともちろん一番上以外何も見えない。
ちなみに、一番上には百均で買ったマウスの空箱があるので(なぜ捨てないのか?知らん!)、つまり一番上も含めて、何も見えない。
その日、たまたま気づいたのは、同じく封書の山の中に放置していた父宛の自動車保険の書類をだいぶ遅れて父に渡したからである(ついでに己のものもあったが、保険の名義は我輩のも含めて父になっているので、開けてどれが自分のか確認するのが面倒なために渡し遅れた、言い訳にもならん)。保険保険保険と保険の書類3つの中から、出てきた役所からの納付書入り封筒。
ヤベえ!忘れてたわ!結構前に来たよな!?
そう思って慌てて封筒を開き確認すると…
納付期限には明日の日付。
納付期限を忘れたら、延滞金がつく。
つまり、ただでさえ高い金払うのに、更に無駄に金が出ていくというわけだ。
うっわー…ヤバかった…。
気づいたのめちゃくちゃ運良いな…なんかに守られてるかもしれんわ。凄すぎ。
怖いから今払ってこようかな、いやでもどうせ明日出勤前にコンビニ寄るし明日でよくね?
今コンビニ行くのめんどいし(徒歩3分圏内)。
うん、よし、そうしよう。
そんなことを思って、金と納付書を準備して寝た。
――翌朝――
ファミマで残り一個のたまごチャーハンおにぎりを引っ掴み、レジに向かう。
そういや、ようやく自分でTポイントカードを挿し込むスタイルを覚えたので*1いつでも挿せますよ、ほら挿しますよ( `・ω・´)とカードを構え挿したのに、我輩が2回やっても読み取れず。店員が挿したら読み取れた。カードリーダーには何がイケなかったのか教えてほしい限りである。
でまあ、たまごチャーハンおにぎり代を払って、手に持っていた封筒から納付書を取り出し、これ支払いたいですと言い、コンビニ店員へ手渡した。
ピッとスキャンするコンビニ店員。
「これ、期限切れてますね」
「えっ(´・ω・`)!?」
5月31日までって書いてあったやろ!!何でや!!
「今日何日でしたっけ!?」
そう店員に思わず訊ねてしまった瞬間。
口から「でしたっけ!?」の「たっけ!?」を発しているあたりで、我輩の脳内を勢いよく昨日の記憶が走馬灯並みに駆け巡った。店員の答えを待たずして我輩は気づいてしまう。
「6月1日ですね」
ですよねええええ!!!
他人の言葉はすごい。一瞬にして気づいたは気づいたが、改めてガツンと現実を他者からの言葉として突きつけられると、激しい衝撃に体が震える。もう、ショックとしか言いようがない状況、そして驚きに耐えきれず、
ハ―――――――ッ(((((^o^)))))!!
という口から息を吸い込むだけのデカイ音を発してしまい、慌てて、すみません、ありがとうございます、と言いながら、手を差し出し、店員から紙切れになった納付書を受け取るとファミマを後にした。すまんかった店員。
車に戻る。まだ、理解できない。自分が。
何でだよ!知ってただろ昨日が5月31日って!!
仕事中あんなに5月31日って入力したやろ!
明日から6月とか思ってただろ!
今日も家出る直前まで今日から一年も残り半分かぁ(^o^)とか思ったよな?!?!
なんで昨日納付書見て期限まであと一日あると思ったん?!なんで…!?頭の時間軸歪んでんのか!?!?
結局何一つ理解できなかった。わかったのは己の頭おかしいってこと。
己を心の中で罵ったとて、時間は巻き戻せない。おいペコパ!時は戻らねえんだよ!!!
とにかく急いで役所に電話する(出勤前だから時間も無いし)。
コール音2回くらいで若い控え目そうなおなごの声が出た。
自動車税納付期限過ぎてもうた…と伝えると、フルネームで名前教えてけろ、と言われる。名乗ると、担当に変わります〜と言われ保留音を聞かされ待つこと十数秒。今度は控え目そうな男の声が出て、住所教えてけろ、と言われ住所を言うと、あ、確認取れました〜いつ頃お支払できそうですか〜と言われる。
いやそんな感じなん?逆に待ってくれるん?と思いながら、遅れれば遅れるほどヤバいことが起きるかもしれないと思い、明日にでも行きます、と答えた。すると、「あ、こちらで、あっ、直接来られて支払われますか?」と言われ、それ以外逆に何があるん?!と思い、意味がよくわからなかったので「あの、直接行く以外に方法があるんですかね?」と訊ねてみた。すると、もう一度送ることも、とのこと。凄いなそんな事できるん?!
本当はそうしてくれた方が助かる。
だが…
役所ってやつは期限が切れたら即、延滞金らしいじゃないか…。執行猶予など無いと聞いている。もう我輩の命運はアイツらに握られたも同然。
怖い。
そんな、もう一度送ってもらってその間トゴみたいな利息つけられたら怖い…!!
そう思った我輩は、そうなんですか…そのまま明日払いに行きます、と言った。隙を見せてはならぬ。こいつ、こんな弱っちそうな声出しておきながらそのうち変貌するのだ。
それから、どうせ明日になったら知ることになるわけだし、逃げようもないので、しっかり地獄を直視するため、
あの、延滞金っていくらですか…?
と自ら恐る恐る訊ねてみた。
「あ~今はまだ、ついてないですね」
でもなるべく早めにお支払いくださいね。
そう相変わらず控えめ~な声の男。
それは予想だにしていなかった言葉。
延滞金ついて、ない!?!!?!?
そんなことあるのか!?!!?
本当に!?!!?
我輩は、そうなんですか!ありがとうございます*2!明日払います!と、しつこいほど明日を強調しながら電話を終えた。
信じられなかった。
コレまでの常識が一気に覆ったようである。
幼い頃から、役人は敵だと教え込まれ育ってきた我輩にとって、それは驚くべき事実。
役人は敵でも鬼でもなかった!!!!
そして今日。我輩は、12900円を奪われた。
もとより消える運命だった12900円。
無事、延滞金はついておらず、何より、納付書お持ちですかと訊かれので、そのまま納付期限切れの納付書をそのままスッと渡すと、期限のことなどなかったかのように12900円ですね〜とだけ言われたのは驚いた。
やはり、未だに、自分の脳内で起こったバグは理解できないが、今回のことがあったから役所の事をやや知れたわけだし、ある意味よかったかもしれない、と思うことにした。
結局金は出て行くわけであるし、知るとかなんとか言ってねえでさっさとコンビニで払ってりゃよかっただけの話ではあるが、原因が解明できていない以上、また同じことを起こす可能性はあると言える。
だが、今回のことがあれば、
慌てすぎず、もう少し心に余裕を持つことが出来るはずである。
あと良かったのはもう一点ある。というかこれが最も良かった。タイミング的に。
ちょうど職場で、今期の家族手当申請がはじまり、住民票謄本と被扶養者(母)の所得証明書を取りに、どの道、役所へ行く用があったのだ。面倒で後回しにしてしまいいつもギリギリになるが*3、今回ついでに終わらせてくることができた。
無駄がなくて良かったぞ!