本日のこと。
バイト生が電話をしていた。
もちろん業務上の電話だ。バイト中なわけだから当然だな。
このバイト生は以前遅刻した、そして報告書を書いたバイト生と同じ人物である。
遅刻&報告書の記事は以下↓
そういえば最近もう一人バイト生が入ってきた。大学生の女の子だ。
これまた我が課を志望してきた。5年間一人も来なかったのに、今年だけで二人も…。珍しいことこの上ない。バイト生フィーバーである。
その女の子バイト生のことはまだよくわからん。前も似た感じのバイトをしていたということで、今のところ、先に入った子より会話が成り立ちやすく、しっかりした感じの子であるため特段面白い事も起きないから、この子のことは何かあったときにしよう(一応何も起きないように願っているぞ)。
にしても二人いると文面で区別させづらい。ので、今後はバイト生Wを女の子の方、とバイト生Rを遅刻した方の男の子ということで統一していく。
でまあ、電話をしていたバイト生R。
座っていた席は我輩の目の前。
ちなみにバイト生Rは入社して2ヶ月近く経つので、最近ようやくちょこっとは使えるようになってきた(言い方が悪くて申し訳ないが、それ以外の表現の仕方がわからん)。
なので客からの軽い電話は任せている。まあ軽いかどうかなんてとってみないと分からないんだけどな。とりあえずとって困ったら回せってな感じだ。雑かもしれないが、我輩のやり方はこれだ。
まあ、こんな感じで適当に任せてはいるのだが、にしても全然話進まねえな!?という応対をしている状況だったのが今日の20時頃のこと。
最初はただ、ハイ、ハイ、と話を聞いている風だったので、そうだ、ハイ、ハイ、ってまずは言うんだぞ、遮らず相手の話をまずは聞くってのが大事だ、とか思っていたら、
一生ハイハイ言ってるだけっぽくなってきていつまで経ってもハイ以外の言葉が聞こえないので、コイツ大丈夫か?何言われてるん?と感じ始めた。
まあちょっと話長いだけの客かなと思いつつ軽く放置していたら、バイト生Rがレンジの話をしようとしているのが聞いてとれた。
なるほど電子レンジの修理か何かの電話か、と思いながらそのまま様子を聞き続けるも、それ以降レンジの続きは出てこず、バイト生Rの口からは、
「ハイ、ハイ、あははは…レンジ…あの…ハイ、ハイ、ハイ…」
といった、まるで意味を成さないもので、おい!いつまでハイハイ言ってんだよ!!相手のペースに巻き込まれすぎだ!!とキレそうになったのでちょっと横に行き様子を見ることにした。
あんまり電話中の人間に横から指示を出すと、ごちゃごちゃしてわけ分からんことになってしまうことが多いので*1、じっと聞きながら様子をうかがい、大丈夫か的な事を目配せする。
結果、大丈夫か大丈夫じゃないか全く分からず。
とりあえず、彼が客にちょろっと伝えたりしている金額的なことも中途半端だったので、ちゃんとこう言え、ああ言え、これ訊けとメモを見せてみる。が、全く話を進めきれない様子。
「ハイ、ハイ、ハイ」から本当に進まない。
たまに、あの…と言ったりもするが、また「ハイ、ハイ」に戻る。
確かに話を聞くことは大事だが、話聞く仕事では無い。聞くだけでは無く、しっかり話を進めなくてはいけないのだが、バイト生Rは己のターンをすべて見逃し、相手にカウンターを食らわされまくっているような状況に見えた。
マジで何言われてんだよ…
笑ってる感じからすれば別にクレームじゃなさそうだが、
だったら早々に話を進めろよ!!
ちゃんと主導権を自分のところに戻せ!!
そんなこんなしている内に電話はどうにか終わり。
我輩は軽く苛立っていたがどうにか抑え、
一体何を言われてたんだ?と訊いてみた。
「あー…ほとんど世間話みたいな感じですかね…」
「ああ、そう…」
で、レンジのメーカーは?わからんの?え?使用者が違う?娘から電話?めっちゃ喋る娘さんだな…まあいいや、もうなにもわからんから、とりあえず使用者にかけないと進めようが無いよ。せめてメーカーだけでも訊いてみて。まずメーカーだぞ、メーカー。
とかなんとかメーカーメーカーしつこいほどメーカー聞き出すんだぞと念押しし、使用者の方へと電話をかけさせる。
あんだけ話しておいて得られた情報は使用者が違うということだけ。9割9分が無駄である。話を進めきれないならひとまず終話するに限るから、電話切れただけマシだ、と思うことにした。
引き続き、横で使用者に電話する様子を聞く。
使用者は高齢の父親の様子で、メーカーが分からないとのこと。またも全く情報は得られず。
大体娘息子が高齢の親の代わりにかけてくるパターンは、娘息子のほうがある程度把握していたりするし*2、金銭のやり取りもその子どもの方にしたほうがいい。そうじゃないと、いきなりジジババにタカろうとしてる姑息な奴らと思われる。こちらにそんな気はなくただ正しい案内をしていようと、話がこじれ(ジジババが理解しないまま子どもにチクるから)そうなるのだ。まあ殺伐としたこんな世の中ではそういうもんだろう。
というわけで、
だめだな、もう一回かけてきた娘さんに連絡とった方がいい。うちで買ったって言ってるんでしょ?じゃあ購入情報探さないと。料金の話も何もできないからな。相手の会話に飲まれないようにしてちゃんと情報を得よう、メーカーはせめて確認すること。んじゃ電話してみて。
と、
そんな感じの指示をしてしまってからが長かった(実際には、お客に言う言葉も組み立ててから、こう言ってああ言ってと細かく指示している)。
バイト生Rが使用者の娘さんにかけてから、最初はうまく話せているように感じた。
大丈夫そうやな、と思っていたら、またも「ハイ、ハイ、あははは…ハイ…」が聞こえてきた。
嘘だろ、お前メーカー訊くだけだって!
なんで!?
ひとまず、「電子レンジの件でお父様へおかけいたしましたが、メーカーをご確認頂くことが難しいようでして…お父様がお使いの電子レンジのメーカー名はおわかりでしょうか?」ぐらいで良いって言ったやろ!!!
何を訊かれているか分からないがバイト生Rが次第に、「上の者に…」とか言い出した。
何がどうなってるか全くわからなかったものの、これ以上無駄に長引かせたくは無かったので(聞いてて腹が立つから)、そうだなもう我輩が代わろう!さっさと代わろう!そんで終わらせてやらぁ!!!と妙に奮い立った状態で、保留して、保留、と隣で小声でバイト生に指示をする。
だが保留すら出来ない様子。
お前代わろうとしてたじゃん!なんでまたハイハイ言ってんだよ!!あはははじゃねえよ!!
どんなマシンガントークを聞かされているのか知らんが、一文すら言い切れず。
保留…
ほりゅ…
詳しいものに…
うえのものに…
と、バイト生Rの言葉は全部が尻切れ状態。最後まで言えないまま、また、「ハイ、ハイ、ハイ…」に戻る。
「保留してくれ!」
「何でも良いからもう保留して!」
「少々お待ちくださいませ、保留させて頂きますって言い切って!」
「お願いだから保留して!」
隣でそんなことを小声で言い続ける我輩。
こんなに懇願しているのに、まだハイハイ言ってやがる…。
もはや我輩からすれば「バイト生が言うことを聞かない!うわあああ!」である。
疲れすぎて隣でしゃがみ込む。
頼むよぉ…
保留してよぉ…
こんなんじゃ終わらないよぉ…
「大丈夫だから保留して!もういいから!とにかく保留いたしますって言って!!」と、もう何度目かも分からない我輩の懇願で、ようやく客に「お客様、少々お待ちください、お代わりいたします、保留いたします」と言い切れたバイト生R。
あああやっと保留になったあああああ!!!!
すぐさま控えた相手の番号を手に持って、自分の席に戻り、控えた番号で登録情報を検索しながら、保留の電話を取る直前バイト生Rに、お客様何か要望言ってた?何してほしいとか、と一応訊くも「あー…」と言い淀んだので待ってられないし「何もないかそうか」と返して即保留電話をとった。
「お電話代わりました、○○のボロボロと申します」
「あぁ~もしもし?」
この電話を取った瞬間、ああああマジかよ!!!!と我輩は思った。
恐らくどの業界、どの業種、どの会社、どの店にでもそうだろうが、一人二人は変な有名客がいる。あーどこどこ店の○○様ね、と、名前を聞いただけですぐ分かるといった感じの悪い意味で濃い客だ。
そしてその電話の主こそ、以前我輩が量販店員をしていた店での、まさしく悪い意味で濃い有名な客A様だったのだ。
声を聞いて即確信し、登録情報を見た途端やっぱりそうだったので、どうりでか、と納得がいった。
彼女はろれつが回らない状態で全く意味の分からない話をし続ける。その話に終わりは無く、時に暴言を吐くこともある。稀に正常というか、状態が良いこともあるが、ほとんどの場合普通じゃない。会話の流れ自体が異常である。
我輩は、A様じゃねえかYO!と気づいた途端、早々に電話を切らなくてはいけないと理解した。
メーカーを聞き出す予定だったが計画変更である。そもそも彼女からは絶対聞き出せるはずが無い。まだメーカーよくわからんと言っている高齢の爺さん(彼女のお父様)と話した方がマシだ。
電話を代わってすぐに、
「電子レンジの件ですね、お父様にご連絡して再度確認させて頂きます」
と伝える我輩。話の流れは通常だとおかしいが、彼女との会話に流れも辻褄もクソも無い。
そんな、いきなり話を終えようとしている我輩に対し、
「あい、あい×○△☆%◇、ね?ぁあ~わかります?わかりますかいってること?で、○☆×□$△」
といった状態で、案の定わけがわからんことを言っているA様(ろれつが回ってないので聞き取りづらいが恐らく聞き取ろうと思えば聞き取れる。だが聞き取れたところで無意味なので聞き取っていない状況)。
ずっとこれ聞いてたのかバイト生Rよ…。これは世間話じゃねえぞ…。
こちらの話を聞かない彼女に、それでも、無理に切ることはさすがにできない(普通ヤバい客相手にどうするのか知らんが、我輩は無理に切るという技を習得していない)。
こちらの言ったことに良い返事をしてもらうように、めげずに同じ言葉を繰り返す。「お父様に確認させて頂きます」「はい、ではお父様にご連絡いたしますので」
結構間髪入れずに言い続けたので、3度目で、あ、はい、はい、おねがいしますねぇ~と言われた。それからすぐに何か言いたそうにした彼女に対し、間をあけずに「ハイかしこまりました失礼いたします」と即言う。はい、しつれいしまぁすと相手も言ったのを聞き届け、無事終話。
見たかバイト生Rよ、この我輩の華麗なる電話さばき…。
とかちょっと思いつつも時間がないので(待たせてるだろうし)、すぐ爺さんに電話をかけた。
やっぱり爺さんはまともで、電子レンジ修理の目安料金などを説明しつつ、あまり安くないね、買い換えようかな、といった感じになったので販売店へ対応を引き継ぎ、ようやく無事終わった。
バイト生Rの対応自体が40分近く、我輩のが10~15分(爺さんへの説明)でトータル約1時間かかったこれ。
さすがに彼女の対応はバイト生Rには早すぎた、もっと早く気づいてやれば良かったと我輩は己の察知能力の低さをちょっと嘆いた。
バイト生Rが使用者である父親側の情報だけを見ていたので全く気づけなかったのだが、それでも、二回目かけさせる前に娘側の情報見るだとか、やればよかった。そしたら気づけたのに。
とりあえずバイト生Rには、○○店で有名な客だったから今回のは当たりが悪すぎたということを説明もしつつ、あんまり相手のペースに飲まれるなよ、相手に相づち打ちながらでも聞き出せるようになろう、頑張ろう、的な事は伝えておいた。
我輩は我輩で、これからはもうちょい介入しようと思った。
とここまで、非常に疲れた、そして、ちょっと己のやり方を反省したという話であった。
最近はちょっと扱いが雑すぎかもしれない、というか教育を準社員に投げっぱなしの自覚はある。もう面倒なんだよな。
あと、前に、新入社員に教えようとしたら、教えるの早いよぉ(>_<)みたいなこと言われたことがあるから、ペースも分からん我輩が教えても意味無いやろとも思っており、なんかもう教える気にならん。ただでさえ教える行為苦手なのにやる気もなくなったからだめなのか。
今回のは電話の向こうで何が起きてるのか気づきにくかったのもそうだが、それ以前に、バイト生への指導そのものが、やはり我輩にはとても難しい…。
まあいいや、忙しくなったら彼らも嫌でも覚えるだろう(実践で)。
あとやっぱ得意なやつがやったほうが良い。分業分業。この世には一定数面倒見いい人種いるからな。あの人たちは凄いわまじで。
我輩はその先のもっと入り組んだことになら喜んで答えるから、基礎部分の教育はそういう人たちに任せよう。